2013年12月21日土曜日

Adobeソフトの販売スタイルに悩まされそうです。

いつの間にかアドビ社のPhotoshop Lightroomの最新版「5」がリリースされていました。ここのところアドビ社は、稼ぎ頭で同社の顔とも言うべきいくつかのソフトをクラウド販売して来ています。つまり、ソフトをユーザーのパソコンへ提供するわけではなくて、インターネットを介して利用できるようにして、利用料を年間契約(支払いは月額)という単位で販売している現状です。
例えば同社のフォトショップ製品群(フォトショップ、イラストレーター、ドリーム・ウェーヴァー、アクロバット等)のトータルパッケージ版はおよそ30万円。個人で手の届く額ではありませんが(個人で使うレベルのソフトでもないでと思います)、これをクラウドで契約すると月額5,000円。つまり60か月(5年間)分で同等のコストになる計算です。
たぶんこの間に間違いなく2回ほどのバージョンアップがあるはずですから、常に最新版を使えるクラウド契約は、間違いなくお得と言えるでしょう・・・。

でも、どうしても僕としてはパッケージ版が欲しいと思ってしまいます。まず、アドビ社がクラウドにこだわる理由は何だろうと勝手に想像すると
1)バグ等の修正を随時反映させたい。
2)ユーザーの利用状況をリアルかつタイムリーに知りたい。
3)違法コピーの蔓延を排除したい。
等が考えられます。中でも(3)についてはソフト会社の生命線とも言うべき課題で、同社のような高額製品をソフトとして販売する上で、何としてもコピーをされないような工夫は必要だと思います。

一方でユーザーからしてみると、このクラウド版と言うのはパソコンが自らの大きな自由を投げ出してしまう一因になると感じてしまいます。例えばⅰPadに代表される一連のタブレット機と、同じ土俵にパソコンが上がってしまうことにつながります。
パソコンがいいのは、その圧倒的なレスポンスの早さと万一ネットに繋がっていなくても、インストール済みのソフトがあればいつでもどこでも自由に使うことができることにあると思います。そういったあれこれをネットの制約下に置かれ(レスポンスの条件にネットのスピードが加わります)、旅先のどこかで開いたノート・パソコンではソフトそのものが使えないと言うことになりかねません。

もちろんアドビ社の方向について、理解できないわけではありません。前述の1~3のテーマは、どれもソフト会社の抱えるとても根源的で存続にかかわる内容であろうとは察しています。それでも自作パソコン派の僕のような立場からすれば、マザーボードで認識している同社のクラウド製品を使うに際しては、マザーボードの交換さえ煩わしい認証の壁が待ち構えています。

現在アドビ社は個人ユースの多いLightroom5(最新版)を3形態で販売しています。
・クラウド版。
・ダウンロード版。
・パッケージ版。
せめてダウンロード版だけでも助かると思うんですが、ゆくゆく無くなってしまいかねない状況なんだろうなぁと思うこの頃・・・。ノートパソコンを外出先で頻繁に使ったり、デスクトップ機を自作する人は、かなり少数派だとアドビ社は踏んでいるのだと思います(事実そうですよね)。いまどき自作パソコンに興じている様なタイプに限って、違法コピーもやらかす傾向にあるのかもしれません(僕はしません(しできません))。

2013年12月5日木曜日

大統領の料理人_シアター・キノ

この秋、2本目の映画を札幌まで見に出かけました。フランスのミッテラン大統領のシェフを務めた女性シェフのストーリー。この映画はいわゆるロードショー のような全国的な上映をされず、数少ない本数が都会を中心に15ほどの映画館で上映されたにすぎません。北海道では唯一札幌で、シアター・キノと言う映画 館で上映されました。フェリーで帰省することになった先日11日に、札幌に寄ってこの映画を見ていくことにしました。
ストーリーは、南極観測隊の フランスの基地とパリのエリゼ宮の厨房とで交互に展開されていきます。エリゼ宮に関する部分は、ミッテラン大統領の個人的な希望で公務の晩餐会などのレセ プション以外の食事を供してくれるシェフを募ったところ、ジョエル・ロブションの推薦を受けた片田舎の女性シェフ、オルタンスが黒塗りの車で招聘されると ころからスタートです。

http://daitouryo-chef.gaga.ne.jp/

エリゼ宮の主厨房と、個人用の小ぶりな厨房で繰り広げられる政治的な綱引きの中、次々に繰り出される美味しそうな料理の数々。もっとも「晴れ」ではないときに供される食事だけに派手さや華やかさはやや抑え気味ではありますが、郷土色豊かな滋味あふれるお皿のあれこれは、映像から温かさや香りがほとばしるかのような臨場感いっぱいに展開していきます。
シェフの気がかりは、自身の作る料理が果たしてミッテラン大統領に美味しく食べてもらえているかということ。多忙極める大統領に直接聞くことも叶わぬまま、それでも戻って来るお皿を見ながら少しずつ自信をつけていくシェフ。そして最初は疑問視していたフロア責任者たちが、次第に協力をしてくれるような変化。さらには突然訪れる大統領との遭遇。田舎からやってきた女性シェフがあれこれと制約を受けながら大統領お気に入りの専属シェフになって行く過程を、その素晴らしい料理群を前面に淡々と語られて行きます。

一方場面が変わって南極におけるシェフは、肩の力が抜け、自分を前面に出したのびやかな日々が描かれています。
2年少しをエリゼ宮で必死に働いたシェフは、結局主厨房との争いや大統領の健康的な理由から課されるたくさんの制約、大統領以外の多くの官邸スタッフの要望などに疲れて辞表を出してしまうのです。そして選んだ次なる行先が南極でした。どうしてエリゼ宮から南極なのか・・・。まぁそれは映画を見てのお楽しみということにしますが、シェフの飽くなき「美味しい食事・美味しい食材」へと繋がる思いが滲むような理由だったのです。

この映画はあくまでもタイトル通りに大統領の個人的な料理人を務めた女性シェフの物語ですが、その一方で美味しいものの持つ「力」は素晴らしいものだということも強く訴えてきます。それはもちろん南極の基地でも同じこと。大統領も南極の基地の面々も彼女の作る美味しいお皿に魅了され、そして彼女を大好きになって行きます。
なお、このストーリーのモデルとなったのはダニエル・デルプシュという女性で、まさに大統領の料理人、南極観測基地のシェフ、そしてニュージーランドでトリュフの栽培などを手掛けた、食に情熱あふれる人です。

ひるがえって僕自身のことを書きますと、少し料理の幅を広げたいと思っていたところです。できれば正式な料理学校の指導を受けて、一から作りたいものに向かい合ってみたいと感じていた矢先だったのです。もっとも料理を習うには、それなりの費用もかかるわけで躊躇する自分もいないわけではありません・・・。でも、この映画を見て、やっぱり思い切ってやってみよう!と言う気持ちになりました。美味しいもの、美味しい料理の持つ力を、もっと引き出してみたい・・・。そんな思いが具体的な目標になったきっかけを作ってくれる映画になりました。

追記:
写真1枚目、札幌狸小路の「シアター・キノ」
写真2枚目、欧風料理を食べたら抜群の味わいのオーベルジュ「白馬ユキモク」
写真3枚目、パリのパン世界選手権でトップ3常連の成瀬氏のパン屋「トランブルー」