2015年4月9日木曜日

大阪阿倍野、辻調理師学校で製菓のスクーリングを5日間受講しました。




3月9日から13日までの5日間、大阪阿倍野 辻調理師学校でスクーリングなる調理実習(僕は、洋菓子の実習です)に出向いていました。気がつけば1か月も前のことになりますが、その時の経過とその後の展開を記しておこうと思います。

スクーリングは、辻調理師学校の1年間の通信教育受講者(有り体に言えば、その受講費用を支払った者)に対して参加資格が付与されます。もちろんこちらも有償です。そもそも、どうしてここに来て通信教育&実習なのか、ですが、開業直前の年にカミさんが「西洋料理」の部門を受講していて、質の高さや教育内容の密度、実習の内容を知っていたからでした。できれば早い段階で僕も受けてみたいと考えていましたが、お恥ずかしい話先立つものがなく(通信教育とスクーリングで概ね30万円ちょっとかかります)、始められなかったと言うのが本心です。
開業して8年の間にどうにか経営的な弱さを少しずつ克服し(まだ怪しい限りではありますが)、加えて自身の洋菓子に対する知識(特に基礎意識)と技能を身に付けたいと思う一心で始めました。そしてそのハイライトは実際に大阪の学校まで行っての実習でした。

なにごとも、準備のない場当たり的な参加は実りの少ないものです。今回はここを大いに反省しないといけません。カリキュラムでは作るものもタイムスケジュールもきっちり決まっていて、あまり事前にチェックする意味合いを感じませんでしたが、大間違いでした。

5日間の中で、特に2日目のパリブレストや最終日の集大成のようなカスタードとフルーツのケーキは非常に印象に残り、当館でもお出ししたいと帰ってからも何度もトライ&アレンジしていますが、もう1度学校に行って授業を受け直したい気分です(授業料を、目いっぱい使い切れていなかったですよね)。

と、その前に、スクーリング(5日間実習)について、大雑把に記しておきます。辻調理師学校では、春休みのこの時期、部門(西洋料理はじめ6部門)ごとに5日間の実習を開催しています。僕の受けた洋菓子では、毎日座学が最初に1時間半ほどあります。テレビでおなじみの(僕はテレビ見ないので詳しくなかったんですが)教授陣が、日替わりで1つあるいは2つの洋菓子を1日かけて教えてくれます。座学の後は実習です。4人1チームに分かれ、1チームに助教授クラス1人と講師クラスが2人ついてくれます。講師クラスは作業の手ほどきもしますが、計量はじめ事前の準備と使用済みの機材や食器を洗う役目も担ってくれます。初日、僕らは1班になり、簡単な自己紹介。長野と山梨の人に続いて「北海道から来ました」と言うと、すごーい、遠くからよく来ましたねと驚かれましたが、4人目の女性が「香港から来ました」と紹介があり、さらに全員がびっくり。僕の最遠隔地の称号は、一瞬にして持って行かれてしまいました!

9時に講義が始まって、実習がスタートできるのはだいたい11時。2時間ほどで一区切りとなり、待ちに待ったランチタイムです。昼食は辻調のランチ担当の先生が、毎日趣向を凝らしたお昼ごはんを用意してくださいます(パンとスープを軸に)。もちろん美味しさには妥協が無く、受講生のランチとしてはオシャレに盛り付けてあります。さらにこのタイミングで最初の座学の時に作成した(講義ですが、先生が助手とともにちゃんとケーキを完成させちゃうんですよね)お菓子の試食も・・・。あー、こんなに美味しいんだ・・・と自分が作っているケーキの完成形を前にしながら瞬く間にお昼もお終い。
時計を見るとたいてい2時くらいのことが多く、ここから後半戦スタートです。ケーキの作成も詰めですから、先生の目も少し厳しくなって・・・。そしてケーキの完成がだいたい4時過ぎ。後片付けをして、4時半くらいに実習の1日が終了します。出来上がったケーキはお持ち帰り。これが遠隔地から来ているホテル住まいの僕には少々問題だったのですが。


さて、ちょっと最初に記した、準備不足の部分に触れなければいけません。学校では、万全の態勢であらゆるものが用意されます。材料、調理器具、計量器具、そしてオーヴンや冷蔵庫(冷凍庫)など、総てが至れり尽くせりに揃えられているのです。
しかし、僕のようにここで学んだケーキを、戻って自分のお客様にもお出ししたいと思うのであれば、ない調理器具や手に入らないちょっとした材料に関して、代替案を用意しないといけません。なにしろ調理器具に至っては無い物の方が多いのが現実です。そこばっかりに気を取られていると、肝心の作業が蔑ろになってしまうので、要注意でした。仕方がないのでその都度優先順位を判断して、ここは作業、ここは代替案の確認、ここは材料の入手方法、ここは作業手順の相談・・・といった具合で1日が目まぐるしく過ぎて、毎日が早いことと言ったらありません。今思えば事前に作成するモノと作業手順、必要な材料を大雑把でも頭にイメージして実習に臨めば良かったなぁと反省しています。
1つの例で、先述のパリブレストというケーキがあります。このケーキにはプラリネというアーモンド抽出カラメルを使いますが、これはちょっとした製菓専用店でも売っているものではありません。僕はうっかりこの代替案を確認し忘れ、帰ってただの自作のカラメルで試作したものはイマイチでした。ネットでプラリネペーストを取り寄せて作ってみると、実習でやったあのコクのある素晴らしいクリームが出来上がりました。

余り多くはありませんが実習で身に付けて来たこともあります。カスタードクリームは上手に作るコツを習得して来ました。数冊の製菓雑誌で手順確認し(たいてい誌によって少し手順が異なります)、独学で作っていたものの欠点もよーくわかりました。熱の入れ方(止め方)や、撹拌のポイント(どこでしっかり撹拌しなくちゃいけないか)は、実習だと非常によくわかりました。あるいはスポンジケーキへのホィップのコーティングなんかも!これからは美しいバースデー・ケーキがお出しできるかもしれません。

最後に、実習で作ったケーキについても触れなければいけません。初日と2日目は、ホテルのフロントにお渡しし、皆さんで召し上がっていただきました。3日目と4日目は、Facebookでしか知らない大阪人(と京都人)と授業後に落ち合って(初めてお会いしました!)、もらっていただいたんです。こんなことができるなんて、世の中変わりました。ネットだけのお知合いの方と、大阪でリアルにお会いできるなんて!
そして最終日はパンを専攻されている方と物々交換です。この日関西空港から北海道へ飛ぶ機内で、僕の夕食が美味しいパンだったことは言うまでもありません。