2017年3月18日土曜日

民泊・・・、その是非に関する個人的なこと。


先に結論を言ってしまうと、「賛成」です。僕のような宿屋業をなりわいとする身にとって、民泊はどうなのだろう?端的に仕事の奪い合いみたいになって、歓迎しないと一瞬思ったこともありましたが、今はとてもいいと思うようになりました。

その一番の理由は、ここ数年の爆発的なインバウンドの増加です。もともと日本のインバウンドの推移は、300~400万人くらいで毎年わずかに増える程度でした(1995~2001年くらいまで)。この微増傾向に、おおいに刺激を与えたのは2002年の小泉内閣(一次)に発足した観光庁のビジットジャパン戦略です(戦略そのものは2003年より)。
http://www.mlit.go.jp/common/001119572.pdf

観光庁の資料にある通り、以降リーマンショックや大震災の影響で足踏みしながらも、インバウンドの増加傾向は加速。2013年には1,000万人を超えて、なんと2016年には2,400万人を突破しました。15年ほどで6倍にも増えた訪日外国人を受け入れる宿泊施設が足りなくなってしまうのは、数字からも明らかです。この5年間だけでも3倍(300%)という激増ぶりです。

さらに2020年には東京でオリンピックを開催することで、この年をピークに政府は4,000万人のインバウンドを実現させるよう戦略を練っています。計画通りにコトが運ぶかどうかはわかりませんが、少なくとも増加傾向はしばらく続くと考えられます。
さて、その受け皿となる宿泊施設ですが、私の経営する様な小さな宿(宿泊数10人くらいの)が増えたところで、1千万人単位で増える訪日外国人の受け皿となるには焼け石に水と言わざるを得ません。大型の宿泊施設はどうかとなると、立地の問題が大きく立ちはだかる上に、初期費用も半端な額ではないために、インバウンドの増加と並行して追いつくほどに建設されるはずもありません。となると既存のモノで代用する民泊は、案外理に適っていると思えるのです。さらには市町村が所有する、集合住宅も選択肢になるかもしれませんね(いろいろ課題もありますけど、利用価値は高そうです)。

また、古くは(参考にならないかもしれないけれども)前回の長野五輪の時に激増した同県内の建物(競技会場もそうですが、宿泊施設も!)が五輪の閉会とともに過剰となり多くの施設が廃墟となったり、閉鎖して解体したりと憂き目に合った。結果だけを見て「見通しのない過剰投資」というのは簡単だが、それぞれにそれぞれの必然があった可能性だってある。このサイトの3番目↓
https://matome.naver.jp/odai/2139218754669500801
順番に倒産に追い込まれて行くさまは目も当てられない悲しい状況だと思うけれども、そうなる過程では、他の多くの健全な施設でさえも危機にさらされていたはずだ。

厚生労働省のwebsiteより

そんなわけで、僕個人としては大型の(過剰な)箱(ホテルや旅館)をじゃんじゃん建てることには賛成しかねる、という判断です。それでもインバウンドが増えるから、ルールをしっかり整備して、民泊をやったり空室の目立つ公団やら市営住宅やらを活用したりがいいと思うんですよね(浅はかかな?)。

補足ですが、インバウンドの増加に政府が舵を切っているのも、ある程度理解しています。これも総論賛成、各論はちょっと・・・みたいなことになるかもしれませんが、国内の人口動態を見たら、衰退ぶりは雪崩を打って起きているとしか思えません。
総人口は緩やかに減っている、というのが現状ですが、その中身たるや65歳以上の老人(65歳でも老人とは言えないほどに活力のある方も増えてはきましたが)が激増中で、その下の年齢層は猛烈に減っている。
生産人口と言える15歳から64歳もがくんと減り、さらに将来労働人口になるであろう19歳以下の人口推移たるや目を覆いたくなるほどです。1億2千万人の日本の人口の中身は、年々歳々「年寄りばっかり」の1億2千万人に変貌しているわけです。厚生労働省の資料↓
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf

その抜粋です。
厚生労働省のwebsiteより


こうなると、ビジネスの先細りは必至。というわけで、政府としてはインバウンドのもたらす経済効果に活路を見出そうとしているのはある面当たり前なのかもしれません。僕たちのなりわいを考えるうえでも、国内のビジネスなら老人向け、そうでなければインバウンドへ訴求するようなビジネスに強いて言えば活路があるのかなぁと感じています。

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