2018年3月29日木曜日

春を前に・・・。

雪が随分少なくなった。それもそのはず、もう3月も終わりだ。ニュースでは、今年は桜が早い(関東や東海地方ではすでにピークを過ぎ、散り始めている)とか、台風3号が接近するかもとか、まだ少なくなったとはいえ雪に覆われているここ美瑛と比べたら、別世界の様子だなぁと思う。

雪が消えて春になる季節というのは、遍くだれにとってもいとおしい季節だ。もちろん僕自身にとっても・・・。ではあるけど、ちょっぴり事情が異なる部分もある。というのは、美瑛のような北海道のローカルな地で、宿屋をやりながら暮らしているから、今の3月から4月はちょっぴり特別な季節だ。

何が特別かと言えば、それは大きく分けると2つになる。ひとつは今が1年を通して一番の閑散期だということ。閑散期と言えば11月中旬から12月初旬というのもそうだけれども、今の方がちょっと期間が長い。
開業した当時は、この閑散期が恨めしくもあった。何しろ開業準備でなけなしの資金をほとんど使い果たしてしまっていたので、お客様のいない暮らしは生活するためのお金がない日々に直結していた。どうやってゴールデンウィークまで繋ぐのか、けっこう辛い2か月近くを過ごしたのは、開業後3年間くらいはあったと記憶する。
今は恨めしくはなくて、むしろ楽しい・・・。幸い宿屋としての経営は開業時よりはマシになって、なんとか冬までに閑散期を越えられるだけの体力がついてきたからだ。本当にありがたいことだと思う。
お客様をお迎えしているときには、小さな隙間時間を見つけてあれもやる、これもやるとがんばらないと、やらなくちゃいけないことが、零れ落ちて行ってしまう。それがこの閑散期になれば週休4日、5日になるので、さぞ、あれこれとたまった残務が片付けられるはずなのだが、週休5日になればなったなりの時間の無駄遣いが災いして、遅々と片付けられない自分がいる。さらに、そんなのんきでちょっぴりだらしのない暮らしぶりが許されるのも今ならではだ。こうして変な時間(ただいま午前4時)にPCに向かうことができるのも、今の時期のお楽しみだ。

もうひとつの特別感は、1年の準備の大半を今やらなくちゃいけない、という相反する部分。4月も末になると、お客様をお迎えする日が多くなって、普通の(というか毎日がお仕事の)日々が続く。こうなると、遠出はできないし、まとまった時間をかけて庭の整理をやったり、websiteを作りこんだり、宿の中のレイアウトを変更したりは事実上できない。それは「今やる」べきことで、繁忙期にはできないことでもある。
もう10シーズンもやっているわけだから、多少は勝手がわかってきたものの、僕の性格上なかなかシステマチックにできないところは大反省点だ・・・。とにかく、1年の計は元旦にあり、じゃなくてこの3月4月の閑散期にあり、なのだ。
決まった「やること」もある。冬の外用の道具(おもに雪を片付ける色々な道具)をしまって、自転車を物置小屋から出してくる。1年分の薪割をやる。庭に花を植える。などなど・・・。本当はやるべきことを書き出して網羅した方がいいのだけれども、ついつい目先のことをやろうとするうちに、効率悪く時間だけが過ぎてゆく。
やることが決まっていること、をなんとなくやりながら、時間切れとなってシーズンに突入してしまうと(たいていはこのパターンだ)、繁忙期に「これを準備しておけばよかったのに!」にたくさんぶつかる。
今の閑散期は、まぎれもなく今年1年の準備期間(であって、今を逃すとそのチャンスはない)。だから妙に気持ちが揺れる。あれこれと気分的にあっちこっちに気が取られる(気が散る)。閑散期をのんびり過ごして、その贅沢な時間の浪費を「今しかできないなぁ」と悦に入る自分と、今年1年の準備をしなくちゃ、と焦る自分・・・。

そうだ、とりあえず温泉に行こう。湯浴みして、あれこれ妄想を膨らませたら、何か見えてくるかもしれない・・・。そんなわけないかもしれないけど。

2018年3月24日土曜日

JRに揺られて・・・。


久しぶりにJRに乗って、旭川へ出かけた。昨日出しておいた愛車(クロスオーバー7)の1年点検とリコール(検査資格のない人が検査した、というだけ)に関するサービスを受けた。何せ1年点検だから、これといった不具合は感じていない。ディラーの、ご挨拶的な意味合いもないことはないだろう。代車も用意してもらえたのだが、必要なさそうなので断った。果たして引き取りに行くのにJRとなったが、時間もあるしたまにはいいんじゃないかな、と思う。


せっかくJRに乗るので、本1冊(と眼鏡)をリュックに入れておいた。案の定、本があると列車の旅はがぜん楽しい。ただ無意識に流れる景色を眺めているのが好きな僕だが、時々本を読む。結局読みかけの本1冊は読破してしまった(谷山雅計著:広告コピーってこう書くんだ!相談室)。
本を読み終えるとほどなく旭川駅に到着。今回は初めて石北本線に乗り換えて、わずか2駅だけれども「新旭川」まで行く。ここがスバルのディラーに一番近そうだ(Google Mapにて、およそ2km弱)。幸い富良野線と石北本線はダイヤのつながりが良くて、7分待ちで比布行きがある。これまた7つながりの7番線に行くと、もう列車は待っていた。
JR北海道は、瀕死の状態だ。鉄道に何とも言えない憧憬がある自分は、いつまでもJRには頑張ってほしいけれども、内実はほぼ不可能ということらしい。ほとんどの路線で経営が成り立たなくなっている現状から、いつまで富良野線や石北本線に乗ることができるのか、心もとない。JR北海道も当の昔に民間企業になっているんだから、ボランティアで列車を走らせ続けることなど出来っこない。経営改善も万策尽きているのだとしたら、せいぜい今あるうちに乗れるだけ乗っておこうと思う。しいて言えばここの所インバウンドの増加が著しいので、利用者は減ってはいないと思う。企画ものはリターンが不確かだからやらない方がいいと思うが、例えば富良野線を旭川空港まで引き入れるような「王道」をやることができるだけの体力がないのも事実かもしれない・・・。

あれこれ妄想を巡らせているうちに、新旭川駅に到着。4番線まである駅だが(しかも結構な本数あることもわかった)、無人駅だった。ディラーに近い4番線側から改札を出ようと陸橋を越えるも、ホームがあるだけで改札はない。また陸橋を上がって1番線のホームから改札を出た。
外からまじまじと新旭川駅を眺めると、「新」の字が、すごく違和感あるほどに駅は古い。レトロと言えばそうだけれども、むしろオンボロと形容するしかない駅舎は、ちょっぴり可愛くもある。ある程度の利用者がいると思われる駅舎でさえこれなのだ。JR北海道の内情は、すでに危険な領域にあるのかもしれない・・・。

駅から国道に出るのに、ディラーと反対の方に300m近く戻ることにした。線路を越える踏切が、陸橋から見た範囲ではディラー側には見えなかった。歩くとなると、失敗はダメージが大きい。ここは手堅く(でも、かなり余計に歩いて)行くことにしよう。結局JRを越える部分も含めると、およそ3km歩くことになり、Mapで予習しておいた距離の5割増しも歩くことに・・・。
40分ほど歩いて目的のスバルのディラーに着くころには、けっこうくたびれていた。歩くのが遅くなったし、脚力も衰えたと実感する。おまけに列車の中で眼鏡なしでは本も読めない。年を取る、ということは、できたことができなくなることだなぁと思い知る。
お天気が良かったのは何よりだった。たぶん気温は2~3℃だったはずだが、それなりに着ていったので快適なウォーキングだった(とくに最初のうちは)。故郷の愛知県で、気温2℃の中を3kmも歩くのは、自殺行為だ。どうして北海道の2℃は、そんなに寒くないんだろう。温度計がうそを言うわけはないから、北海道の不思議ということにしておこう♪

ディラーで愛車を引き取り、一目散に帰路へ。急げばお昼には間に合いそうだ。携帯で話したところによると、カミさんの大腸がんの検診は「白」だったようだ。これを理由に今日はおいしいものを食べに出かけよう。そうだ、ひさしぶりに富良野駅の近くにある、パスタのお店にでも行ってみようかな・・・。

2018年3月17日土曜日

新しいカメラ、X-T2。


久しぶりに我が家にニュー・マシン(カメラ)がやってきた。実のところ最近の(ここ数年の)新型カメラの吐き出す「絵(画)」を、優劣つけるだけの審美眼は僕にはない。
にもかかわらず、このカメラを購入した動機は、今手にしているカメラの不満点解消があるからだ。と同時にそのカメラ(富士フィルムのX-T10)は、不満点もあるけれどもいいところもたくさんある(だから不満点が解消されれば大いに使いたい!)。

2月の中頃、春節(中国の旧正月の祝日)たけなわの頃、いらしたお客様が持っていたカメラが今回買ってしまった同社のX-T2だ。撮ってくださいと渡されたカメラを操作しながら、ファインダー覗いてシャッター切った。そのほんのわずかな時間で得られたフィーリングがとても良かったのです。

あらためて少し持っているカメラのことを記載しますと、現在使っているカメラはレフ機はCANON、レフなし(通称ミラーレス1眼)は富士フィルム。もともとCANON使いだったわけだが、フジのモノとしての作りの良さや、ミラーレスのコンパクトさ、軽量さに惹かれて、複数マウントに踏み切ってしまった。で、その富士フィルム、使ってみるといい、悪いのかなりはっきりした性格で(あくまで私にとって・・・です)、もうちょっとここがこうだったらサイコーだけどなぁ的なカメラ。
そこに突然先月「撮ってください」と貸されたX-T2に触れることになり、この「こうだったらなぁ」が見事に実現していたのに驚き、思わず欲しくなってしまったわけです。私的に富士の「絵」はコントラストが効いていて、とても美しいもの。ちょっとやりすぎかなぁ、ナチュラルな色合いではないな、と思う寸前の、うまいところでバランスさせていると思う。一方でX-T10は、操作系にやや難あり。これは僕自身の問題でもあると思うけど、けっこう小さなボディにアナログのダイヤルいっぱいつけて(これがまた、モノ的には美しかったりする)見た目はいいけど操作はしにくいし、知らぬ間にあれこれダイヤルに触れちゃうし、おまけにデジタルで操作するのかアナログでダイヤル操作だったか頭の中は混乱するし、というカメラなんですよね。
もともとT-1のコンパクト版で出てきたX-T10の宿命でもあったかもしれないけれども、絵作りにおけるスペックはそのままに、でも少々無理して小さくしました感のT-10が、その分操作しにくくても仕方がないのかもしれません(持ち歩きに負担は少ないですし)。でも、3年も使ってみると、相変わらず出てくる絵は美しいのだけれども、撮っててテンポが合わない、というかなんとなく気持ちよくない、楽しくない・・・というカメラになってた、ちょっとだけ。

X-T2手に入れようと決めて価格をリサーチしてたら突然それまでの2割も安い価格で売り出したお店(もちろんネット通販店)を発見!飛びついて注文入れたけど、案の定(いや、半分は期待してました)お店側から「間違えました、ごめんねさい」メールが来てしまい、お流れになったのが3月13日。ま、買ったつもりに半分なっていたので、モノが来ないのはさみしい。引き続きリサーチしながら、おそらくの底値を見極めて注文して、商品がやっと届きました♪
ちなみにその後に価格はさらに下がり、僕の買った値段よりも2千円ほど下がったのは悔しいといえば悔しいけれども、こればっかりは仕方がないね・・・。そうそう、この価格が下がるという現実、今ではまぁまぁ納得している私です。出来立てのほやほやはどうしてもいろいろなことがコストアップにつながっていると思う。仮にメーカーの出し値が変わらなくても、運ぶ人も売る人も、ある程度扱う時間が過ぎればいろいろコスト下げることはできるだろうし、小売店(と言ってもかなり大きなだけど)だって、売れ具合つかめるから仕入れの数量とかのリスクも下げられる。そこに駆け引きというか商売のあれこれがあるので、価格が動くのは当然だし、買う側もどこで買うのか好きに決めたらいいと思う。今回はぴったり底値というわけには行かなかったけれども、ここまで来たら買ってもいいな、というところで発注した。

到着したニューカマー、思った通りの使いやすさです。前機のX-T10の時も、今思うとT-1にしておけば良かったなぁと、今になって思わないでもない(そうしていたら、今回の購入は見送っていたなぁ)。とにかくコンパクトに魅力を感じたからT10にしたけれども、予想以上の美しい写りと予想以上の使いにくさがわかった。それでやってきたT2は、使いにくさに関してしっかり改善されてリリースされている。きっとカメラの大きさの「ちょうど良さ」の範囲って間違いなくあって(人それぞれだと思うけど)、T2はそのちょうどいいレンジにぴったり収まっている感じだ。

喜ぶのもつかの間、ファインダーの結像が、どうしてもピン来ない。液晶にはきれいに映るし、撮った写真をモニターで見てもばっちりなんだけど、ファインダーが厳しい。まぁ構図くらいはなんとか・・・とは思ってみたものの、これって初期不良じゃね・・・?とネットの購入先と富士フィルムをちょっぴり恨めしく思えてきた。ダメもとでマニュアルを見たもののいまいちわからず、ネットで探してみると・・・、あ、ありましたありました。ファインダーの視度調整!こんなの1度もやったことないや。なんでもカメラを購入して電源入れたら最初にやる儀式とは知らなかったぞ(何年カメラやってんだ???)。あらためてマニュアル読み直したらばっちり出ているじゃないですか。ひとつ利口になったような、こんなことも知らなかったのかと落胆するやら・・・、まぁいいや、とにかく調整です。お、ピンちゃんと来ました。うんばっちり。
こういうことでも、メーカークレームで帰ってくることあるんだろうなぁ。デジタルカメラなんて、言ってみれば最新メカの塊だから、わけもわからずに勘違いして「不良品だ!」と思っちゃうこと、あると思う。僕の無知はかなりひどいレベルだろうけど、ちょっとそんなことを思った。参考までにお役立ちのwebsite貼っておきます。手持ちのほかのカメラもしっかりファインダー見てみよう。
https://flowercamera.net/koneta-20151017/

ファインダーにしっかりピントも合い、いい被写体なんかないんだけどあてずっぽうにシャッター切ってみる。うん、いい感じだよね。ミラーレス機にありがちな、あの1テンポ(2テンポか?)遅れるような感じがしないし、メカニカルダイヤルもそれなりの大きさ・配置で使いやすいよ。
いっつも新しいカメラを手に入れるたびに、なんだか写真がうまく撮れるような気になる。作ってるメーカーさんもそこは十分研究に研究を重ねていらっしゃることと思うし、まんまと術中にはまった自分が、可笑しくもあります。


2018年3月4日日曜日

愛しき厳冬の丘風景。


毎年、お正月が過ぎるころになると、ちょっぴりお客様のご来館が減って、少しずつ自分の時間が持てるようになる。今年はありがたいことに2月下旬まで結構忙しかったので、自分時間のお楽しみは2月も末になってからになった。
2月下旬までのお客様は、いわゆる中国系の「旧正月」連休を利用して当館に来てくださるアジアの(中国系の)お客様が多かった。インバウンドの好調な推移の数字のことは詳しくわからないけれども、当館にもこうして確実に海外からいらっしゃるお客様が増えている事実を鑑みると、それが現実として理解される。

アジアの、それも日本でいえば九州以南のお客様(具体的には上海、香港、台湾、シンガポール、そしてタイなどからいらっしゃるお客様)は、雪景色を見ただけで別世界感を存分に経験していただけるのが北海道だと思う。
実のところ愛知県育ちの僕自身にとってさえ、北海道の冬は感動的ですらある。移住して12回目の冬だというのに・・・。よく、12月に入って町がクリスマス風に模様替えを整えるころ、ホワイトクリスマスをテーマにした音楽だったり映像だったりが、メディアや雑誌のグラビアに登場する。すごく雰囲気はある(から飽きもせずに毎年出番があるのだろう)けれども、実際にお目にかかったことは1度だってない。ここ数年降雪機会が多くなってきているので、もしかしたら可能性はあるかもしれないが、現実にクリスマスの時に町が雪に覆われて真っ白くなる、なんてことは起きはしない。
ところがこちら北海道ではまったくそうではなくて、クリスマスの時に雪が積もっていない・・・ということは考えられない。まごうかたなき銀世界になる。クリスマスは、もちろん普通にホワイトクリスマスだ。もっとも北海道生まれ、育ちの人で「雪が好き」な人にお会いしたことはない。きっとクリスマスもホワイトじゃない方が好きなんだろうなぁと勝手に想像している。

クリスマスを迎えると、そんなことを毎年思い出す。まだ年内は美瑛のお天気はやや下り坂なことが多くて、どんより曇り、たくさん雪が降る。これが年が明けて間もなく快晴の日が多くなり、2月になると、真っ青な空と真っ白い大地の日々が続く。快晴の早朝、日によっては氷点下25℃より冷え込むこともあって、凛とした冬の北海道の美しさに包まれる。
個人的に好きなのは、なんといってもダイヤモンド・ダストだ。空気中の水分が結晶して、小さな氷の粒になって舞い落ちる。マイナス17、8℃よりもう少し気温が下がらないと見えない。あとは日の出の陽光が降り注ぐことと、無風(かせいぜい微風)という条件がそろえば、ほぼ確実に見ることができる。
もちろん肉眼で見るダイヤモンド・ダストは十分に幻想的だ。晴れて、なにかが降るような気配が全く感じられないのに、空気中にあった水分が析出して、キラキラと小さな氷の結晶が粉雪のように舞う。しかもカメラの望遠レンズを通して見ると(それもピントを大きく外して見ると)、ダストは七色にきらめいて、さらに美しい。ダイヤモンド・ダストの量が多い日には、昇る太陽の下に、ダイヤモンド・ダストが一直線に伸びて光の柱になる。いわゆる太陽柱(サンピラー)と呼ばれるもので、これは1月から2月の寒い朝に5、6回程度しか見ることができない。
太陽柱はもちろん、ダイヤモンド・ダストも特別なもので、毎日お目にかかるものではない。その分運よく見ることができた朝は、なんだかすごくラッキーな気分になる。普段からお目にかかれない方が、ありがたみがあるってことだと思う。

幸運にも、この冬は僕に少し時間ができた2月の最後に連続して2日間ダイヤモンド・ダストが舞った。しかも初日(2月26日)は、サンピラーも目にすることができた。自分が何かご褒美をもらえるような行いをしたわけでもないのに、なんだかそんな気分にさせてくれる、厳しいそして第三コーナーをまわった美瑛の冬を満喫する日が続く。